誰もが知る俳優、阿部サダヲ(アベ サダヲ)さん。映画やドラマでどんな役でもこなしてその役柄になりきってしまう、名俳優ともいえます。
バラエティなどの出演を見ても毎回爪痕を残すかのような面白さで番組を盛り上げてくれます。そのインパクトに加え、【阿部サダヲ】というお名前も特徴的ですね。
果たして、こちらのお名前は本名でしょうか、芸名でしょうか。
もし本名ではないとするならば、どうしてこの芸名にしたのか理由を知りたいところですね。
今回は、それに加えて阿部サダヲさんのキャラクターや、実は関係があるという宮藤官九郎さんとのことに注目してみましょう。
目次
阿部サダヲさんは本名ではない?芸名だとすれば、由来は一体どこにあるのでしょうか?
実は阿部サダヲというお名前は芸名で、阿部隆史(あべ たかし)さんが本当の名前です。
芸名を決めるときには、阿部サダヲさんの所属する劇団“大人計画”の主宰者である松尾スズキさんからとんでもない名前を提案されたようです。
“お前の名前、死体写真な”。
確かに、死体写真を髣髴とさせるほどの肌の色の白さではありますが…これでは世間のイメージが悪すぎますね。
さすがに不謹慎だったのか、その名前はつけられないまま終わりました。
しかし、松尾スズキさんは独自の視点で阿部サダヲさんをガンガン攻めます。
“本名が阿部だから、【阿部定を】にしよう”と言うのです。
この提案は、どうやら1936年の阿部定事件が元であるようです。
これは昭和の歴史にも残るといわれている、東京で起きた殺人事件です。
阿部定(あべ さだ)というのは犯人の女性の名前。
愛人の男性を殺害し、その後男性器を切断してしまうというなんとも痛ましい事件でした。
【愛のコリーダ】という大島渚監督の映画をご存じでしょうか。
衝撃作といわれたこの作品、実はこの阿部定事件をもとに作られたのです。
これではさすがにあからさますぎるので、“定を”の部分を片仮名にして“阿部サダヲ”さんというお名前が誕生しました。
阿部サダヲはどんな性格?演技の役柄通りのひょうきんさはあるのか?
阿部サダヲさんは、いわゆる“カメレオン俳優”。
まるで役柄が憑依したかのように、演じる役によって雰囲気やキャラが大きく変わりますね。
その中でも一番といえるのが、コメディ作品での喜劇的な演技ではないでしょうか。
どうやら阿部サダヲさんは、物心がついたころに最も見ていた番組が【ひょうきん族】だったようです。
当時阿部サダヲさんの通う小学校では漫才が流行しており、それも相まってのめり込んでいったのです。
阿部さんは、当時のことをこのように語ります。
「(ビート)たけしさんとか、下町出身で身近な感じがして、それまでは漫才師というとちょっと遠い存在だったのが、地元のネタとかが出てきて嬉しかったというか。
毒舌な笑いというのも新鮮でしたね。」
・・・なるほど、阿部さんのキャラクターの起源がここにあったわけですね。
自分自身が漫才を好みお笑いを好きになったからこそ、それをなぞらえたような役が彼には合うのでしょう。
しかし、普段の生活では違うこともあるようで。
本当は、寂しがり屋で人見知りだというのです。
なんと小学校低学年のころには、先生から当てられただけで涙を流すような子だったのです。
その性格は当分直らず、アルバイトをできる年齢になっても接客業は苦手としていたそう。
では、今の“俳優”はどうなのでしょうか。
人から見られる職業として代表的なものですが、そこに恥ずかしさはないのでしょうか。
阿部さんはこのように語ります。
“セリフは自分の言葉じゃないから楽だ”
“素で語る方が恥ずかしい”と。
どうやら俳優業はまた別のようですね。
阿部さんに目立ちたがり屋の片鱗が見えるようになったのは、野球を始めたのがきっかけでした。
みんながいる前でも恥ずかしげなく声を出せるようになったほかに、走る際や帽子を被る際に、毎回かっこをつけるようになったそうです。
それが影響し、“カッコマン”というあだ名までつけられたんだとか。
結局、人見知りなのかそうでないのかどっちなんだ?!と思わせるかもしれませんが、きっとどちらも当てはまるのです。
プライベートな阿部さんと、役柄に入り込んだときの阿部さん。
スイッチのオンオフのように、状況によって使い分けているのですね。
阿部サダヲと宮藤官九郎の関係性は?
阿部サダヲさんと宮藤官九郎さんの関係といえば、まず思いつくのが【池袋ウエストゲートパーク】ではないでしょうか。
宮藤作品の代表作の一つともいえるこのドラマに、俳優として出演しているのが阿部サダヲさんなのです。
そして実は、コントバンドであるグループ魂の仲間でもあります。
これは知る人ぞ知る意外な関係ですが、宮藤官九郎さんは阿部サダヲさんにとって一体どのような存在でしょうか。
阿部サダヲさんはこのように語ります。
“元々、僕が俳優として知られるようになったのは宮藤さんの作品のおかげもあるし、原作にないような役を描いてくれたりして、僕のプロデュースのようなことをしてくれた気がするんです、すごく。
だから僕は宮藤さんが書く台本を、その台本がおもしろいっていう芝居で、いままで知らなかった方にも伝えていきたいというのが大きいです。
絶対におもしろいですよ、という芝居が出来る自信があるんです。”と。
しかし、2008年に放送された超話題作【あまちゃん】に彼が呼ばれることはありませんでした。
大人計画に所属する多くの俳優が出演していたこともあり、阿部サダヲさんを楽しみにしている人もたくさんいましたね。
そして阿部サダヲさん本人も出演依頼を心待ちにしていたようで、声がかからぬままクランクアップを迎えたときには落ち込んだそうでした。
その経緯は語られていませんが、最近は【いだてん】などにも出演しており不仲というわけではないようです。
大人計画に参加したからこそ、演劇の舞台へ飛び込むことになった阿部サダヲさん。
お芝居は彼にぴったりの天職ともいえそうですね。